平成30年1月9日

朝鮮南北対話の深読み
[その1]

金正恩北朝鮮総書記は韓国の文在寅大統領の要望を受け入れたことで本日から平昌オリンピック参加の為の両国高官対話が始まる。これに先駆け文大統領はトランプ大統領に3月の米韓合同軍事訓練の中止を求めたところマチス国防長官はオリンピックの為に一時延期しオリンピック終了後再開するとし、対北朝鮮強硬姿勢に変わりがないことを強調した。文大統領が北朝鮮に対話路線を打診したのは昨年9月6日ウラジオストックで開催され東方経済フォーラムの際にプーチン大統領からの南北朝鮮緊張緩和策の提案を受けてからである。ロシア、中国、韓国(三国)は北朝鮮の核とミサイル保有を容認した上で、北朝鮮は核ミサイル開発を現段階で中止し、韓国は米韓軍事訓練を止めて南北対話を再開する。そうすれば三国は北朝鮮に対して経済援助するというもの。
韓国は早速人道援助の名目で対北朝鮮支援を始めた。ところが北朝鮮はその後第6回目の核実験とミサイル発射を続け、トランプと金正恩の口先戦争が熾烈を極める中で在韓米軍と北朝鮮軍は一触即発の事態に陥った。昨年11月に北朝鮮は米本土を直撃出来るICBMの実験に成功するや、金正恩は文大統領の要望に応じ、今回の南北高官対話になった。文大統領は一貫して「脱アメリカ」を主張し続けてきた政治家である。米軍は米韓安全保障条約以降、日米安保同様韓国の行政管区内の軍事行動の自由を確保していたが、最近韓国は「平時」の軍事指揮権を米軍から取り戻し、現在文大統領は「有事」の指揮権取り戻しに専念している。韓国が米軍から完全に軍事指揮権を取り戻すことを北朝鮮、中国、そしてロシアが切望している。今回の南北対話を機に北朝鮮脅威に対する日米韓共同路線は崩壊し、今後は中露韓路線に移る。文大統領(韓国)が解決済みの日韓慰安婦合意を反故にし、日韓関係を悪化させているのは北朝鮮問題から日本を除外する為である。トランプ大統領の目的は、今までアメリカの政治(軍事)を支配してきた軍産複合体(米軍・CIA・マスコミ)から国家主導権を取り戻すことである。だから、米軍(軍産)が韓国から追い出されることは大歓迎。トランプにとって問題なのは何時まで経っても対米追従を続ける日本である。戦後の日本の政治は「虎(米国)の威を借る狐(官僚・マスコミ)」が根底にあり、韓国のように「脱アメリカ」を試みる首相はことごとく官僚とマスコミに排除されてきた。安倍晋三は2006年第一次安倍内閣から「自由と繁栄の弧」(自由経済圏と対中軍事包囲網確立)で中国の南・東シナ軍事覇権に対抗しシルクロード戦略の向こうを張ろうとした。歴代内閣で自主外交政策を打ち出したのは安倍内閣が最初である。当然ブッシュ大統領は安倍に頭を越されるのを嫌った。
だから私が当時の麻生外務大臣(現副総理)、谷内外務次官(現国家安全保障局長)にお墨付きをもらい2006年6月ブッシュ参加のプラハ会議で安倍外交を披露したが全くの不評だった。当然日本のマスコミも今日同様の安倍落としで第一次安倍内閣は短命で終わった。ところがオバマ政権になると「アメリカはもはや世界の警察官ではない」とアメリカの指針が覇権主義から多極主義に変わり、そして覇権主義の軍産に対抗するトランプ政権が誕生、さらに昨年11月トランプ訪日、「シンゾーの案で行こう」と言って第一次安倍内閣以来官僚・マスコミに嫌われてきた「インド太平洋戦略」(中国包囲網戦略)に従うと宣言した。アメリカが日本の外交政策に従うのは戦後初めてのことだ。
そこで早速安倍は12月13日インドのニューデリーでインド太平洋戦略会議を開いたが、何とトランプは代表を送って来なかった。韓国を去り、続いて日本を去る米軍(軍産)は日本に「自分の頭のハエは自分で追い払え」と言う。日本の官僚とマスコミが「日米安保は日本の安全の要」などと言う事実無根を国民に信じ込ませることで虎(米国)の威を借りて日本の政治を支配してきた時代が今終わろうとしている。トランプの敵である軍産(米軍覇権)が韓国、日本から撤退、喜ぶトランプ、そして孤立する日本。それは日本の官僚とマスコミ支配の日本の政治が国民の手に戻ることを意味する。四面楚歌で孤立し、頼れる虎(強国)がなくなった後の日本の独立と安全保障を日本はどうやって確保するのか。再軍備、アジアの軍事大国、核保有国の道しかないのか。
いや「神の国」と言う道がある!

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